フォーデジットデザインがデザイン会社をやる理由

SEP 04, 2014 / Written by RYO TAGUCHI 4DD, DESIGN

ブログを開始するから何か書けというメンバーからの突き上げがあり、、なにか相応しいテーマはないかなと思って、「デザインについて」というテーマで書こうと思います。僕がデザインを語るにはおこがましいですが、デザイン会社をやる理由でもあるのでこれで行きます。

3年目に突入したフォーデジットデザインでは、もともと持っていた「広義のデザイン」要素を高め、表面的ではない広い視野でデザインについて取り組んでいます。「デザイン」と聞くとアーティスティックでグラフィカルな世界観を思い浮かべたり、センスがある人たちがかっちょいい何かを作ってる感じがしますが、僕たちはいわゆるそういった表に見えやすい「デザイン」というわけではなくて、例えば「組織をデザインする」とか「ビジネスをデザインする」といった様に使われる「広義のデザイン」という意味で「デザイン」を捉えています。
ウェブの世界は変化が非常に早くて、ウェブデザインの意味することも変化しています。
15年前のウェブデザインはHTMLで文書を書くことでした。FLASH時代は演出や動きを作るのがうまい人がウェブデザイナーの一流でした。今は何でしょう?

もちろん演出が素晴らしい人やアーティスティックなデザイナーも一流です。マンガチックなタッチで素晴らしい表現が出来る人や超絶プログラミングが出来る人も一流です。でも、ウェブデザインはもうそういった単なるスキルレベルの話ではありません。

「これは何をもって成功なのか?」という問いを持ち、その成功に向かって最適な選択ができること、その成功に対するクリエイティブに妥協を許さないことこそが、僕たちの目指すデザインの姿だと信じています。

そして、それは幅広い知識や専門性を必要とします。事業への理解、マーケティングの知識、写真やコピーライティングなどのコンテンツ、情報設計、クリエイティブの知識、サーバーサイドやフロントなどのプログラミングの知識、そしてそれをまとめる組織力やマネジメント。先端技術や高いアンテナも必要でしょう。キリが無いことかもしれませんが、ウェブやデジタルテクノロジーはもはやキリが無いぐらい必要とされています。

建築やプロダクトなど歴史の深いデザインの領域では「そんなの当たりまえ、もともとそれがデザイン」とか言われそうですが、ウェブデザインではまだまだそこに至るには深い溝があります。なんせ実践されたGUIなんて2-30年ぐらいしか歴史がありませんし、その上で強烈に変化しているのです。実際のデザイナーやプログラマは変化をキャッチアップすることで手一杯になってしまうのも1つの現実です。

IDEO社のデザインコンサルティング

ちょっと話はそれますが、IDEOという世界一と言って良いほどのデザイン会社があります。彼らは、いわゆるデザインをするのではなく、デザインの力で問題解決を行う会社です。彼らの手がけるデザインコンサルティングは貧困問題などの社会的な問題解決にまで及んでいます。

「デザイン・シンキング(デザイン思考)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。まさにIDEOのCEOであるティムブラウンが提唱したコンセプトです。デザインを行うプロセスは問題発見と具体的な問題解決を繰り返すメソッドであり、その力がものづくりやイノベーションに対して有効に発揮することを彼らは証明し続けています。また、同じくIDEOのファウンダーであるデビッドケリーはスタンフォード大学で有名なD-schoolというカリキュラムをやっていて、スタンフォード大学のピカピカのMBAホルダー達も参加しています。それもそのはず。IDEOのデザインコンサルティングの料金は、あのマッキンゼーのビジネスコンサルティングとほとんど同額だそうです。

佐藤可士和さんのアートディレクション

こないだ楽天トラベルのカンファレンスで、僕のチームがやっているクリエイティブサーベイというサービスに関連するテーマで講義をしてきたのですが、メインセッションは佐藤可士和さんでした。今治タオルや、ふじようちえんなどの事例を挙げてホテル施設や観光事業の方々を前に「本質的なことをやる」「本当に良いものを伝える」「コンセプトにこだわる」という言葉で表現されていましたが、やはり、サービスや事業に関わるレベルで広義のデザインを行なっていました。
もちろんアウトプットされるものはロゴデザイン・店舗デザイン・グラフィックデザインなどであり、その洗練されたクオリティのアウトプットに着目しがちになりますが、その前にサービスレベルやコンセプトレベルのデザインを強烈に行なっていることが分かります。そこへ関わることは、事業への理解や事業の成功へのコミットが必要とされますが、だからこそ、シンプルさや強いメッセージ性が生まれるのだと感じます。

テンプレートやクラウドソーシングの時代

僕の18歳の娘は、自分の音楽をやっていて自分で用意したウェブサイトを持っています。たまに更新もしたりしてます。
でも「ブラウザ」とか「HTML」とかそういう言葉を知りません。スマホばかり使うので、パソコンの再起動やアップデートも良くわからず、LINEとかで連絡取るので通常メールもパソコンで送ったことがありません。僕はStrikinglyを教えただけで、娘は勝手にウェブサイトを作り、その後はライブドアブログでやっていたりtwitterでコミュニケートしていたりしています。
企業の担当者も、Wix.comやstrikingly.com、Wordpress.com のテンプレート群と価格を見たら、デザイン会社に発注しないで、自分たちでサイトを作るかもしれません。でもそういう時代です。世の中はどんどん便利になり簡単になります。一昔前のコーディングは、瞬殺で模倣できるようになりました。よくあるパララックスやレスポンシブであれば、テンプレートとして安価で買うことも可能です。サーバ代も安いし、クラウドソーシングを利用すれば、カスタム作業も安価でやることができます。99designなどの海外のクラウドソーシングを活用すれば、いわゆる今風のアイコンやテンプレートなどもクラウドソーシング価格で発注できます。つまり単なる ”アウトプットだけを買う” のであれば、自分で作らなくても、探す労力を費やすだけで、安く世界中から手に入ります。すでにほとんどのものが存在しているとも言えます。もはや単に作ることに大きな価値はないように見えます。これは作れる人が少なかった時代とはわけが違うのです。

では、僕らがデザイン会社である理由はどこにあるんでしょうか。そして、何に価値を見いだせば良いでしょうか。
それは、チームの価値・デザインの価値、であると思っています。

チームの価値

クラウドソーシングでアウトプットだけを簡単に手に入れることが出来るとしたら、デザイン会社である理由はどこにあるでしょうか。僕たちの答えは「コラボレーション」です。ものづくりは、情報設計・写真・文字・インターフェイス・インタラクション・フロントエンド技術・サーバサイドプログラミングなどなど、何でもそうですが、努力やセンス、経験とかによって培われた高いスキルが必要です。しかも、何か高いスキルを持っているとしても結局1人じゃものづくりは完結できなくて、他の誰かが持っているスキルと組み合わせることが必要になります。誰かとものを作るには「チーム」という考えが必要です。
ここに会社という「大きなチーム」、プロジェクトという「小さなチーム」が必要だと考えています。

どんなに強い専門性を集めてもそれが機能するかは別ものです。スペインのサッカーチーム「レアルマドリード」が一流選手を集めていて、いつも強いですが、かけたお金と比例して強いわけではありません。また、外部から有名選手を集めますが、当然ながら内部から成長するメンバーもいます。試合に出る11人+ベンチや監督などの「小さなチーム」、育成施設や地域振興、スポンサーや広告などのエコシステムも含めた「大きなチーム」。これらがレアルマドリードを支えています。

この「チーム」が単なる足し算でなく有機的にコラボレーションしたとき、素晴らしい成果や素晴らしい瞬間、価値のあるものづくりが出来ます。それは、チーム内で起こる小さな花火みたいなものです。アイデアが具現化されて確かな手応えを感じたとき、思い描いていた理想に近づけるコラボレーションが出来たとき、パッとみんなが明るくなるんです。誇らしいし楽しいのです。だから、そんなチームでありたいと思っています。

デザインの価値

ダニエルピンク「ハイ・コンセプト」(2006年)という本をご存知でしょうか。もう8年も立ちますが世界的にベストセラーになった本です。彼は今のような時代を予測して、将来、何に価値があるかを考え抜いた人です。コンピューターやデジタル技術が人間の不確実性を補完し、作業の効率性を極端に上げ、無駄を排除し、繰り返し行なわれる作業が人の手からコンピューターにほぼ移り、さらに、コンピューターが自ら学習し進化を遂げて、今では考えられないぐらい進化を遂げた後に、人間社会に残される価値とはなんでしょうね、と。
彼が挙げた6つの価値とは、以下のものです。(本書の帯より抜粋)

1)「機能」(実用性)だけでなく「デザイン」(有意性)
2)「議論」よりは「物語」
3) バラバラの断片をつなぎあわせる「調和」
4)「論理」ではなく「共感」
5)「まじめ」だけでなく「遊び心」
6)「モノ」よりも「生きがい」

どうでしょうか?
この6項目って、デザイナーが出来ること、たくさん語られていると思いませんか?

だからこそ「デザイン」の未来を僕は信じています。そして、デジタル領域のデザインは、これからの生活にたくさん必要となります。今言われているウェアラブルデバイスやIoTなども生活を大きく変える可能性があり、そこには、インターフェイスデザイン・インタラクションデザイン・情報設計などが必ず必要とされるでしょう。そこでデザインをきちんとした意味でとらえ着実に取り組むことに価値があります。だからこそ僕らは広告用のウェブデザインだけでなく、デジタルプロダクトと言えるようなデザインや仕組みやサービスデザインにもチャレンジする必要があると思うのです。

デザインについて

改めて僕がデザインを語るにはおこがましいかもしれませんが、、、少なくとも10年以上ウェブのデザインを見てきて、30年ぐらいパソコンを触ってきて思うことは、「未来を作れる可能性を感じる」こと、そしてそれが「楽しい」ということです。デジタル技術は新しい表現や新しい可能性がどんどん出てきます。ウェアラブルのコンタクトレンズ、紙のような透過ディスプレイ、ホログラム技術、空気中の振動から電気を作り出す技術、これらが僕たちの生活をどのように変えてくれるでしょうか。素敵な体験でなければ生活には浸透しません。その可能性はデザインが担っていると思います。
それも単純に1人の個性が作り出すアーティスティックなデザインでなく、素晴らしいチームの専門性が融合して紡ぎ出すコラボレーションによるデザインであることを、フォーデジットデザインの未来に重ねています。僕らはまだまだ若いチームですのでこれからなのですが、今いるメンバーとこれから出会うメンバーはそれが実現できるチームになるはずです。

ということで、つべこべ言ってしまう僕なので色々と道の途中で御指導いただくことも多いと思います。とはいえ、、ブログもスタートしますので、皆さんに僕らのことを知ってもらえるように頑張ります。ぜひ見守ってください。よろしくお願いいたします。

フォーデジットデザイン
代表取締役CEO 田口 亮

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